「認知症になった私が伝えたいこと」佐藤雅彦著

【すべての人へ】
認知症になりたくてなる人はいません。

認知症になって、自分の生活、

そして人生が大きく変わりました。

認知症になることは残念なことですが、

けっして不幸なことではありません。

認知症になったら、

できなくなることも多いですが、

できることもたくさんあります。

本人は、何も考えられない人ではなく、

豊かな精神活動を営むことができる人です。

本人は、医療や介護の対象だけの存在ではなく、

どんなときでもかけがえのない自分の人生を

生きていける主人公です。

本人は、自分のやりたいことや、自分のできる仕事、

ボランティアなどをつうじて世の中に貢献できる

社会の一員です。

認知症の人たちは、社会の「お荷物」的な存在ではなく、

老いたり、生活が不自由になったりしても、

だれもが自分らしく堂々と暮らしていける新しい世の中を、

身をもってつくりだしている人たちです。

いま、認知症とともに生きている多くの人たち、

そして、これから認知症になるかもしれない無数の人たちが、

認知症になっても幸せに暮らせる社会を、

一緒につくっていこうではありませんか。

人間の価値は、「これができる」「あれができる」という

有用性で決定させるのではありません。

何もできなくても、尊い存在なのです。

私は、これからも広く、

認知症の人はこういうふうに考えているのだということを、

社会に向けて訴えていきたいと思います。
「認知症になった私が伝えたいこと」佐藤雅彦著より抜粋